2017年5月20日土曜日

フラッグという魔力を知る


「国旗で知る国際情勢」:マーシャル,ティム、Marshall,Timを読んでいる。世界193か国には当たり前の様に、国旗があるが、その歴史はさほど古く無い様だ。標章自身は古代エジプトでも存在したが、重くて実用(要は持ち歩いたり、掲げたりする)に向かなかったらしい。それを今のフラッグとして流通させることが出来たのは、中国人による絹の開発以降だ。更にそれがシルクロード経由でアラブ世界に流通され、十字軍の戦いを通じて、ヨーロッパに渡り、それが戦場で使われ、海上の信号としても用いられ、最終的には国家のシンボルと化した歴史は中々面白い。氏は全ての国旗について論じるのではなく、特徴的且つ関心を惹かれるものに特化して、説明を加えてゆく。読者の方はまずは表紙に掲載されている実物を目で確認してから、それらの類似点から相違点、更には特徴を頭に置いて、本書を読むと良いかもしれない。章は1.星条旗、2.ユニオンジャック、3.十字と十字軍、4.アラビアの色、5。恐怖の旗、6.エデンの東、7.自由の旗、8.革命の旗、9.よい旗、悪い旗、醜い旗と分かれている。どの章も面白いが、やはり自分にとって馴染みが在ったり、あるいは暮らしたことや訪問したことのある国の旗には、関心が集まるのは当たり前かもしれない。その意味から私は屡々訪問した米国:1章、英国:2章の国旗の変遷が面白かった。又、良く注意しないとどの国がどの旗か?が混乱してくるのが、欧州の似通った旗だ。:3章。英国離脱で右往左往する現時点での欧州の背景が、何となく感じられ、ヨーロッパ大陸という名前だけでは、人々を一つに束ねるには無理があると思わせる。4,5章で重なるアラブと過激派のフラッグは意外な事に類似性があり、且つイスラム教に強く依存する傾向を示している。特にサウジ国旗のシビアな管理(反旗は許されず、Tシャツ化も神への冒涜と見做されるらしい)は未だ、近代国家として未熟な王国支配の片鱗を見せている。肝心の日本は6章に登場する。中国、韓国のその後だ。しかも、最近サッカーの試合等の応援に使われ、問題視されている旭日旗も並列扱いされ、第二次世界大戦での戦争時の蛮行に対し、かなり激しい批判の言葉が加えられているのは印象的だ。氏は英国出身のジャーナリストだが、これが恐らく一般的な欧米諸国の旧日本軍への侮蔑と嫌疑のイメージだろう。そして、又、冷静に日本国旗が1999年にようやく公立学校で掲揚されるに至るまで、多くの抵抗があったことを、日本人自身真摯に学ぶ直す必要があるだろう。高がフラッグ、されどフラッグ。国民の感情を支配し、揺り動かすまでにその魔力を携えた国旗に、改めて独自の視点で解析を行った氏に改めて敬意を表したい。



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