2017年4月11日火曜日

異訳も一興かと



「源氏姉妹」:酒井順子氏を読んでいる。負け組、勝ち組ですっかり著名になった氏だが、しっかりとこの様に、古典を凡人たちに分かり易く紹介してくれる達人でもある事に少々驚いている。しかも、閨事に拘り、華のある光源氏をここまで貶める手口は、やはりイケメンの良いとこの出のジゴロには深い恨みあり(現代で言えば、お金持ちで、イケメンでのホストクラブの男の子?)と推測したが如何だろうか。それにしても、秀逸なのは光源氏と「しちゃった」年表で、桐壺の方から、雲隠の方まで、計44名。何と、百人斬りには及ばなかった訳だが、光源氏の歳は12から果ては60までの展開となる訳で、いやいやお盛んな事には違いない。冒頭の姉妹は光源氏としちゃった女人たちは、皆兄弟ならぬ、姉妹という下りも何処まで本気で、何処までパロデイにしているのかは、氏らしい取り組みなのかもしれない。時折、氏の女性?としての本音がちらちらと見えるのも一興で、女性たるもの、金や力を持った男に弱くてはいけないと格言を述べたりしている。そして、究極は源氏物語の中心的役割を果たしている、ヒロイン、紫上方を取り上げた部分だ。これを氏は少女誘拐がきっかけと論じて見せ、嫉妬を演じない愛人に育て、真の恋人である藤壺の身代わりである事も知りながら、ひたすら源氏に仕えるのだが、其処には子供の出来ない弱みと同時に、深く黒い感情を源氏に抱いていたに違いないと断じる。下に女性は怖いものだと実感。否、再認識。ピロローグは図表に取り上げられた女人たちの座談会。最初に登場するのは、六条御息所、葵上、夕顔、紫上、女三の宮だ。言うなれば、天皇の未亡人、初妻、賤しい産まれの女、愛人、正妻となろうか。ここは入り組んだ愛憎ありきの会談となる。次は…ブス会、ママ会、エロ会、最後は源氏ツアーまで用意する周到ぶり。なんだこんだと言っても、源氏物語には深い憧憬があるようにも見える。面白い。流石、氏である。お薦めの本でもある。


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